tomiです。
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平成24年行政書士試験は、受験申込者数75 ,817名、受験者数59,948名、合格者数5,508名、合格率9.19%でした。
今日は問題30(民法)です。
問題30 譲渡担保に関する次の記述のうち、判例に照らし、誤っているものはどれか。
1 不動産の譲渡担保において、債権者はその実行に際して清算義務を負うが、清算金が支払われる前に目的不動産が債権者から第三者に譲渡された場合、原則として、債務者はもはや残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできず、このことは譲受人が背信的悪意者にあたるときであっても異ならない。
2 集合動産の譲渡担保において、債権者が譲渡担保の設定に際して占有改定の方法により現に存する動産の占有を取得した場合、その対抗要件具備の効力は、その構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産についても及ぶ。
3 集合動産の譲渡担保において、設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をしたときは、当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。
4 集合債権の譲渡担保において、それが有効と認められるためには、契約締結時において、目的債権が特定されていなければならず、かつ、将来における目的債権の発生が確実でなければならない。
5 集合債権の譲渡担保において、当該譲渡につき譲渡人から債務者に対して確定日付のある証書によって通知が行われた場合、その対抗要件具備の効力は、将米において発生する債権についても及ぶ。
正解は4です。
1 不動産の譲渡担保において、債権者はその実行に際して清算義務を負うが、清算金が支払われる前に目的不動産が債権者から第三者に譲渡された場合、原則として、債務者はもはや残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできず、このことは譲受人が背信的悪意者にあたるときであっても異ならない。
判例(最判平6.2.22)によると、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否とにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができません。
2 正しい
2 集合動産の譲渡担保において、債権者が譲渡担保の設定に際して占有改定の方法により現に存する動産の占有を取得した場合、その対抗要件具備の効力は、その構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産についても及ぶ。
判例(最判昭62.11.10)により正しい。
3 正しい
3 集合動産の譲渡担保において、設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をしたときは、当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。
判例(最判平18.7.30)により正しい。
4 誤り
4 集合債権の譲渡担保において、それが有効と認められるためには、契約締結時において、目的債権が特定されていなければならず、かつ、将来における目的債権の発生が確実でなければならない。
判例(最判平11.1.29)によると、債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、契約の効力を当然には左右しません。
5 正しい
5 集合債権の譲渡担保において、当該譲渡につき譲渡人から債務者に対して確定日付のある証書によって通知が行われた場合、その対抗要件具備の効力は、将米において発生する債権についても及ぶ。
判例(最判平13.11.22)により、集合債権を対象とした譲渡担保契約において,同契約に係る債権の譲渡を第三者に対抗するには,指名債権譲渡の対抗要件の方法によることができます。
指名債権譲渡の対抗要件は、確定日付のある証書によってしなければ債務者以外の第三者に対抗することができません。(民法第467条2項)
参考までに
◇譲渡担保とは、
担保にしようとする目的物の所有権を債権者に移転し、その後に債務者が弁済すれば所有権が戻ってくる制度です。
◇集合債権の譲渡担保とは、
債務者が有する第三債務者に対する複数の特定された個々の債権を一個の集合した債権として捉え、これに譲渡担保を設定することです。
質権、抵当権と譲渡担保の違いは?
例えば、Aさん(債務者)がBさん(債権者)から自動車(目的物)を担保として100万円借りたとします。
質権の場合は、自動車の名義(所有権)はAさんのままですが、自動車はBさんが所持します。
譲渡担保の場合は、自動車の名義(所有権)はBさんになりますが、自動車はAさんの手許のままです。
抵当権はそもそも動産(自動車)には設定できません。
一番大きな違いは質権、抵当権は物権ですが、譲渡担保は判例によって確立された制度です。
以上、今日はここまでです。
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