tomiです。
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平成24年行政書士試験は、受験申込者数75 ,817名、受験者数59,948名、合格者数5,508名、合格率9.19%でした。
今日は問題32(民法)です。
問題32 無償契約に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
1 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって、その効力を失う。
2 贈与契約においては対価性を維持する必要がないため、目的物に瑕疵があったとしても、贈与者は、それについて善意であるか悪意であるかにかかわりなく担保責任を負わない。
3 使用貸借においては、借用物の通常の必要費については借主の負担となるのに対し、有 益費については貸主の負担となり、その賞還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することはできない。
4 委任が無償で行われた場合、受任者は委任事務を処理するにあたり、自己の事務に対するのと同一の注意をもってこれを処理すればよい。
5 寄託が無償で行われた場合、受寄者は他人の物を管理するにあたり、善良なる管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならない。
正解は1です。
1 妥当
1 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって、その効力を失う。
民法552条の条文がそのまま出題されています。
「定期の給付を目的とする贈与」とは、名前のとおり定期(毎月の月末とか)に10万円あげるというような贈与のことです。
毎月お金をあげるというと「お小遣い」と一緒ですよね。
だから原則的にお小遣いも贈与です。
ただし「贈与税」という税金は通常(常識の範囲)のお小遣いにはかかりません。
2 妥当でない
2 贈与契約においては対価性を維持する必要がないため、目的物に瑕疵があったとしても、贈与者は、それについて善意であるか悪意であるかにかかわりなく担保責任を負わない。
贈与者は原則担保責任を負いません。(民法551条1項)
けれど贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったとき(悪意の場合)は担保責任を負う場合があります(民法551条1項)
551条1項は民法改正(2020年4月1日施行)で改正されます。
3 妥当でない
3 使用貸借においては、借用物の通常の必要費(不動産の固定資産税などの公租公課や借用物の現状を維持するのに必要な修繕・補修費などを)については借主の負担となるのに対し、有益費(賃借物件の入り口の改装工事費用などのモノの価値を増加させるために費やされた費用)については貸主の負担となり、その賞還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することはできない。
有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができます。(民法583条2項)
4 妥当でない
4 委任が無償で行われた場合、受任者は委任事務を処理するにあたり、自己の事務に対するのと同一の注意をもってこれを処理すればよい。
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います。(民法664条)
5 妥当でない
5 寄託が無償で行われた場合、受寄者は他人の物を管理するにあたり、善良なる管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならない。
無報酬で寄托を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負います。(民法659条)
寄託(きたく)とは、当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために物を保管することを約し、それを受け取ることによって成立するです。
以上、今日はここまでです。
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