tomiです。
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平成25年度の申込者数 70,896名、受験者数55,434名、合格者数5,597名、合格率10.10%でした。
今日は問題31(民法)です。
問題31 契約の解除に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡しまでの間にAの火の不始末により当該建物が焼失した。Bは、引渡し期日が到来した後でなければ、当該売買契約を解除することができない。
イ Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡し期日が到来してもAはBに建物を引き渡していない。Bが、期間を定めずに催告した場合、Bは改めて相当の期間を定めて催告をしなければ、当該売買契約を解除することはできない。
ウ AとBが、その共有する建物をCに売却する契約を締結したが、その後、AとB は、引渡し期日が到来してもCに建物を引き渡していない。Cが、当該売買契約を解除するためには、Aに対してのみ解除の意思表示をするのでは足りない。
エ Aが、その所有する土地をBに売却する契約を締結し、その後、Bが、この土地をCに転売した。Bが、代金を支払わないため、Aが、A・B間の売買契約を解除した場合、C名義への移転登記が完了しているか否かに関わらず、Cは、この土地の所有権を主張することができる。
オ Aが、B所有の自動車をCに売却する契約を締結し、Cが、使用していたが、その後、Bが、所有権に基づいてこの自動車をCから回収したため、Cは、A・C間 の売買契約を解除した。この場合、Cは、Aに対しこの自動車の使用利益(相当額)を返還する義務を負う。
1 ア・エ
2 イ・ウ
3 イ・オ
4 ウ・エ
5 ウ・オ
正解は5です。
ア Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡しまでの間にAの火の不始末により当該建物が焼失した。Bは、引渡し期日が到来した後でなければ、当該売買契約を解除することができない。
債権者(B)は履行の全部又は一部が不能になった時は契約の解除ができます。(民法543条)
債務者(A)の責に帰すべき事由(火の不始末による火災)で引渡し前に履行不能になったので引渡し期日をまたずに売買契約を解除できます。
イ 妥当でない
イ Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡し期日が到来してもAはBに建物を引き渡していない。Bが、期間を定めずに催告した場合、Bは改めて相当の期間を定めて催告をしなければ、当該売買契約を解除することはできない。
期間を定めない、あるいは短い期間で催告をしても、その催告の日から相当な期間を経過したあとであれば契約の解除をできます。(大判昭2.2.2、最判昭44.4.1)
ウ 妥当
ウ AとBが、その共有する建物をCに売却する契約を締結したが、その後、AとB は、引渡し期日が到来してもCに建物を引き渡していない。Cが、当該売買契約を解除するためには、Aに対してのみ解除の意思表示をするのでは足りない。
当事者の一方が数人(AとB)の場合は契約の解除は全員(AとB)に対してする必要があります。(民法544条1項)
エ 妥当でない
エ Aが、その所有する土地をBに売却する契約を締結し、その後、Bが、この土地をCに転売した。Bが、代金を支払わないため、Aが、A・B間の売買契約を解除した場合、C名義への移転登記が完了しているか否かに関わらず、Cは、この土地の所有権を主張することができる。
当事者の一方(A)が解除権を行使した場合は各当事者(A・B)は原状に復させる(元どおりにする)義務を負います。(民法545条1項)
ただし、第三者(C)の権利を害することはできません(民法545条1項)
なお、この場合の第三者(C)が保護されるには対抗要件(登記)を備えている必要があります。(最判昭33.6.14)
オ 妥当
オ Aが、B所有の自動車をCに売却する契約を締結し、Cが、使用していたが、その後、Bが、所有権に基づいてこの自動車をCから回収したため、Cは、A・C間 の売買契約を解除した。この場合、Cは、Aに対しこの自動車の使用利益(相当額)を返還する義務を負う。
当事者の一方(C)が解除権を行使した場合は各当事者(A・C)は原状に復させる(元どおりにする)義務を負います。(民法545条1項)
売買契約が解除された場合、最初から契約はなかったことになるのでCは使用利益を返還する義務を負います。(最判昭51.2.13)
以上からウとオが妥当なので5が正解です。
以上、今日はここまでです。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。