行政書士試験 平成25年 問題32

資格試験

tomiです。

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平成25年度の申込者数 70,896名、受験者数55,434名、合格者数5,597名、合格率10.10%でした。

 

今日は問題32(民法)です。

 

問題32  Aは、B所有の甲土地上に乙建物を建てて保存登記をし、乙建物をCが使用している。この場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはいくつあるか。

ア Aが、甲土地についての正当な権原に基づかないで乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいて乙建物をCに使用させている場合に、乙建物建築後20が経過したときには、Cは、Bに対して甲土地にかかるAの取得時効を援用することができる。

イ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、乙建物の所有権をAから譲り 受けたBは、乙建物についての移転登記をしないときは、Cに対して乙建物の賃料を請求することはできない。

ウ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、Cは、Aに無断で甲土地の賃料をBに対して支払うことはできない。

エ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建てている場合、Aが、C に対して乙建物を売却するためには、特段の事情のない限り、甲土地にかかる賃借権を譲渡することについてBの承諾を得る必要がある。

オ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、A・B間で当該土地賃貸借契 約を合意解除したとしても、特段の事情のない限り、Bは、Cに対して建物の明渡しを求めることはできない。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

5 五つ

 

正解は2です。

 

解 説
ア 誤り
ア Aが、甲土地についての正当な権原(法律上の原因・根拠)に基づかないで乙建物を建て、Cとの間の物賃貸借契約に基づいて乙建物をCに使用させている場合に、乙建物建築後20が経過したときには、Cは、Bに対して甲土地にかかるAの取得時効を援用することができる。

時効は当事者が援用しなければ裁判所はこれによって裁判することはできません。(民法145条)

つまり当事者が時効を援用(時効が完成したことを主張)することができます。

当事者とは時効により直接利益を受ける者をいい、取得時効が問題になっている土地(甲土地)上の建物賃貸人(C)は時効によって直接利益を受ける者ではないので当事者には該当せず時効の援用はできません。(最判昭44.7.15)s

 

イ 正しい

イ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、乙建物の所有権をAから譲り受けたBは、乙建物についての移転登記をしないときは、Cに対して乙建物の賃料を請求することはできない。

賃貸中の不動産(乙建物)を譲り受けた者(B)は、移転登記をしなければ賃借人(C)に賃料を請求することができません。

 移転登記しなければ賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができないからです。

(最判昭49.3.19)

 

ウ 誤り

ウ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、Cは、Aに無断で甲土地の賃料をBに対して支払うことはできない。

債務の弁済は第三者(C)もすることができますが(民法474条1項)、利害関係を有しない第三者は、債務者(A)の意思に反して弁済をすることができません。(民法474条2項)

民法474条2項の反対解釈より利害関係を有する第三者は債務者(A)の意思に反して弁済をすることができます。

借地上の建物の賃借人(C)は、敷地の地代の弁済に利害関係を有するものとされています。(最判昭63.7.1)

つまり利害関係を有する第三者になります。

 

エ 正しい

エ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建てている場合、Aが、C に対して乙建物を売却するためには、特段の事情のない限り、甲土地にかかる賃借権を譲渡することについてBの承諾を得る必要がある。

賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合、特別の事情のないかぎり売主(A)は、買主(C)に対し、その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであつて、それに伴い、その賃借権譲渡につき賃貸人(B)の承諾を得る義務を負います(最判昭47.3.9

 

オ 正しい

オ Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、A・B間で当該土地賃貸借契約を合意解除したとしても、特段の事情のない限り、Bは、Cに対して建物の明渡しを求めることはできない。

土地賃貸人(B)と賃借人(A)との間で土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人(B)は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物(乙建物)の賃借人(C)に対抗できません。(最判昭38.2.21)

 

誤っているのは、アとウの二つなので2が正解です。

 

今回の問題は「誤っているのはいくつか」ですが、「正しいのはいくつか」というのもあります。

落ち着いて最後まで問題をよく読みましょう。

 

以上、今日はここまでです。

最後までご覧いただきましてありがとうございます。

 

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