tomiです。
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平成25年度の申込者数 70,896名、受験者数55,434名、合格者数5,597名、合格率10.10%でした。
今日は問題34(民法)です。
問題34 Aは、配偶者がいるにもかかわらず、配偶者以外のBと不倫関係にあり、その関係を維持する目的で、A所有の甲建物をBに贈与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。
1 甲建物がAからBに引き渡されていない場合に、A・B間の贈与が書面によってなされたときには、Aは、Bからの引渡請求を拒むことはできない。
2 甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。
3 甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡した後に同建物についてA名義の保存登記をしたときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することができる。
4 A名義の登記がなされた甲建物がBに引き渡されたときには、Aは、Bからの甲建物についての移転登記請求を拒むことはできない。
5 贈与契約のいきさつにおいて、Aの不法性がBの不法性に比してきわめて微弱なものであっても、Aが未登記建物である甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。
正解は2です。
1 誤り
1 甲建物がAからBに引き渡されていない場合に、A・B間の贈与が書面によってなされたときには、Aは、Bからの引渡請求を拒むことはできない。
不倫関係を維持する目的での贈与は公序良俗に反するため無効です。(民法90条)
Aは引渡請求を拒むことができます。(最判昭45.10.21)
2 正しい
2 甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。
不法な原因(不倫)のために給付した者(A)は、原則、その給付したものの返還を請求することができません。(不法原因給付(民法708条)といいます。)
未登記の不動産を贈与した場合は、引渡しがあれば給付されたことになります。(最判昭45.10.21)
3 誤り
3 甲建物が未登記建物である場合において、A(贈与者)が甲建物をB(受贈者)に引き渡した後に同建物についてA名義の保存登記をしたときには、A(贈与者)は、B(受贈者)に対して甲建物の返還を請求することができる。
贈与が不法原因給付にあたる場合は、A(贈与者)は給付した物(甲建物)の返還を請求することはできない。➡︎物(甲建物)の所有権はB(受贈者)に帰属します。(最判昭45.10.21)
したがって、A(贈与者)が甲建物につき所有権保存登記を経由したときは、B(受贈者)がA(贈与者)に対し甲建物の所有権に基づいて所有権保存登記の抹消登記手続を請求することができるのでA(贈与者)は返還を請求できません(最判昭45.10.21)
4 誤り
4 A名義の登記がなされた甲建物がBに引き渡されたときには、Aは、Bからの甲建物についての移転登記請求を拒むことはできない。
登記済みの甲建物(不動産)が贈与された場合は、B(受贈者)がA(贈与者)からの返還請求を拒むためには甲建物(不動産)の引渡だけでなく所有権移転登記手続きが必要になります。(最判昭46.10.28)
B(受贈者)の所有権移転登記がされていないときは「給付」されたとはいえないのでA(贈与者)は、B(受贈者)からの移転登記請求を拒めます。
5 誤り
5 贈与契約のいきさつにおいて、Aの不法性がBの不法性に比してきわめて微弱なものであっても、Aが未登記建物である甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。
微弱にすぎない場合は返還を請求することができます。(最判昭29.8.31)
以上、今日はここまでです。
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