行政書士試験 平成26年 問題29

資格試験

tomiです。

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平成26年行政書士試験は、受験申込者数62 ,172名、受験者数48,869名、合格者数4,043名、合格率8.3%でした。

 

今日は問題29(民法)です。

 

問題29   A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に築造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から 1 年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により無効であった。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を築造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

1 ア・イ

2 ア・エ

3 ア・オ

4 イ・ウ

5 ウ・エ

 

正解は4です。

 

解 説
ア 妥当
ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から 1 年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

共有者(C)が1年以内に当該義務(甲土地・乙建物にかかる管理費用支払い)を履行しない時は、他の共有者(AおよびB)は相当の償金を支払ってその者(C)の持分を取得することができます。(民法253条2項)

 

 

 

イ 妥当でない

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により無効であった。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

不動産の共有者の1人(AおよびB)は、共有不動産(甲土地・乙建物)について実体上の権利を有しないのに持分移転登記を完了している者(D)に対し、その持分移転登記の抹消登記手続を請求することができます。(最判平15.7.11)

 

 

ウ 妥当でない

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を築造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが同地役権の全部を消滅させることはできない。

土地の共有者の一人(A)は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができません。(民法282条1項)

これを地役権の不可分性といいます。

 

 

エ 妥当

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるE分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

共有者の一人(C)が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者(AおよびB)に帰属します。(民法255条)

 

相続人がいない場合に相当と認めるとき家庭裁判所は、特別縁故者(E)の請求によって、これらの者に清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。(民法958条の3)

 

共有者(AおよびB)、特別縁故者(E)いずれが優先されるかというと特別縁故者が優先されます。(最判平元.11.24)

 

 

オ 妥当

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

法定地上権の成立要件は4つあります。

・抵当権設定時に土地上に建物が存在すること(甲土地上に乙建物)

・抵当権設定時に土地と建物が同一所有者に帰属していること(A・B・C)

・土地又は建物に抵当権が設定されること(Fのために共同抵当権)

・抵当権実行により土地・建物が異なる所有者に帰属すること(甲土地:G、乙建物:A・B・C)

問題では法定地上権の成立要件が満たされています。

 

妥当ではないものの組み合わせはイとウのため、正解は4になります。

 

 

以上、今日はここまでです。

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