行政書士試験 平成25年 問題28

資格試験

tomiです。

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平成25年度の申込者数 70,896名、受験者数55,434名、合格者数5,597名、合格率10.10%でした。

 

今日は問題28(民法)です。

 

問題28  不動産の取得時効と登記に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 不動産の取得時効の完成後、占有者が登記をしないうちに、その不動産につき第三者のために抵当権設定登記がなされた場合であっても、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したときは、特段の事情がない限り、占有者はその不動産を時効により取得し、その結果、抵当権は消滅する。

2 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成する前に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができない。

3 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができず、このことは、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、異ならない。

4 不動産の取得時効の完成後、占有者が、その時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して時効を主張するにあたり、起算点を自由に選択して取得時効を援用することは妨げられない。

5 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後にその不動産を譲り受けて登記をした者に対して、その譲受人が背信的悪意者であるときには、登記がなくても時効取得をもって対抗することができるが、その譲受人が背信的悪意者であると認められるためには、同人が当該不動産を譲り受けた時点において、少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する。

 

正解は1です。

 

解 説
1 妥当
1 不動産の取得時効の完成後、占有者が登記をしないうちに、その不動産につき第三者のために抵当権設定登記がなされた場合であっても、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したときは、特段の事情がない限り、占有者はその不動産を時効により取得し、その結果、抵当権は消滅する。(裁判平24.3.16)

ほぼ裁判要旨そのままです。

2 妥当でない

2 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成する前に当該不動産を譲り受けた者(第三者)に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができない。

取得時効が完成する前に不動産を譲り受けた者(第三者)に対しては、登記がなくても対抗することができます。(最判昭41.11.22)

 

3 妥当でない

3 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者(第三者)に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができず、(最判昭33.8.28)のことは、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、異ならない。

時効が完成した時点で所有権は占有者に移ります。

不動産を譲り受けた者も譲り受けた時点で所有権を所得します。

つまり占有者も不動産を譲り受けた者(第三者)も所有権を取得しているので、この場合は先に登記をした者が相手方に対抗できます。

 

 

もし第三者が登記をしても、占有者が引き続き時効取得に要する期間占有を継続した場合は、その第三者に対して登記をしていなくても時効による権利の取得を対抗できます。(最判昭36.7.20)

 

4 妥当でない

4 不動産の取得時効の完成後、占有者が、その時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者(第三者)に対して時効を主張するにあたり、起算点を自由に選択して取得時効を援用することは妨げられない。

時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算します。(最判昭36.7.27)

 

 

5 妥当でない

5 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後にその不動産を譲り受けて登記をした者(第三者)に対して、その譲受人が背信的悪意者であるときには、登記がなくても時効取得をもって対抗することができるが、その譲受人が背信的悪意者であると認められるためには、同人(譲受人)が当該不動産を譲り受けた時点において、少なくとも、の占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する。

譲受人がその占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していない場合でも背信的悪意者になる場合もあります。(最判平18.1.17)

民法177条では不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないとされていますが背信的悪意者は第三者にあたりません。(最判昭43.8.2)

 

以上、今日はここまでです。

最後までご覧いただきましてありがとうございます。

 

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